1992年
11月,「オジー引退ライヴ」で
ロブ・ハルフォードが参加
11月15日,4曲のみの
オリジナル・サバス再結成

1994年
トリビュート作品にロブが参加
ギーザーやビルと共演

1996年
アイオミのセッション活動
ロブがサバス加入と報じられる

2004年

"OZZFEST"にJUDAS PRIESTが参加
8月26日,オジー急病により
ロブ・ハルフォードが代役




"オジー引退ライヴ"での共演 (1992年)




 BLACK SABBATHがロニーとともに「DEHUMANIZER」ツアーを行って
いたまさに同時期、オジーは「ライヴツアーからの引退宣言」を表
明していた。その"最終公演"は、1992年11月14日と15日に、ロサン
ゼルスのコスタ・メサで行われる事になった。

 オジー夫人のシャロンは、この記念すべきショウの"スペシャルゲ
スト"として、BLACK SABBATHに出演を打診する。


 アイオミとギーザーはこの要請を受諾し、出演を決めた。しかし
誇り高きロニーは"オジーの前座"としての出演を拒否。11月13日の
ライヴ終了と同時にバンド脱退の道を選ぶ。

 ロニーに替わるヴォーカルには、サバスと同じバーミンガム出身
であるロブ・ハルフォードに出演要請がなされた。ロブはロニーに
相談の上、この代役出演を受け入れる。こうして2公演限りの"鋼鉄
神"とサバスの共演が実現した。




1992年11月14日
1. E5150
2. The Mob Rules
3. Computer God
4. Children Of The Sea
5. Symptom Of The Universe
6. N.I.B.
7. Die Young
8. Into The Void
9. Heaven And Hell
10. Supernaut
11. Neon Knights
1992年11月15日
1. E5150
2. The Mob Rules
3. Children Of The Grave
4. Children Of The Sea
5. Symptom Of The Universe
6. N.I.B.
7. Die Young
8. Into The Void
9. Heaven And Hell
10. Sweet Leaf
11. Neon Knights
Original Black Sabbath
1. Black Sabbath
2. Fairies Wear Boots
3. Iron Man
4. Paranoid
"HEAVEN AND GOD"
'92年11月14日
"COSTA MESA 1992"
'92年11月14日 (映像)

"THE LEGEND IN THE HELL"
'92年11月15日
"LIVE AND GOD"
'92年11月14日・15日

 日によって若干セットが異なっており、二曲目を新曲から代表曲に差し替えているのが特に印象深い。
 セット最大の特徴は、「Symptom Of The Universe」の完奏。ロブの強烈なハイトーンヴォーカルは、ライヴでの
演奏が難しかったこの曲を見事にクリアしている。もしサバスとロブの合流が実現していれば、このような方向性で
曲作りが行われたのではないだろうか?…しかしその反面、ロブの声で聴くと違和感を覚える曲がある事もまた事
実。「Children Of The Sea」と「Into The Void」の二曲では特にそれを強く感じる(さらに15日の「Children Of
The Grave」では、リハーサル不足が露呈している)。

 オジーの前座ということで、主役のオジーが当時のツアーのセットに入れていた「Paranoid」,「War Pigs」はセ
ットから外れている。この二曲が同時に演奏されないというのは、長いサバスの歴史の中でも極めて珍しい事だ。

 ちなみに、オジーとビルを含むラインナップで「オリジナル再結成」を果たしたのは15日。オジーとサバス双方の
セットで意図的に外されていた「Black Sabbath」と「Iron Man」がここでようやく演奏され、オリジナル再結成を
強くアピールしている。





トリビュート作品参加と1996年セッション (1994 / 1996年)

 '92年のコスタ・メサにおける「オジー引退ライヴ」で、バンドの急場を救ったロブ・ハルフォード
は、その後もまたBLACK SABBATHの人脈との交流が続く。


 '94年には当時盛んだったトリビュート企画のSABBATH版「NATIVITY BLACK」に参加して、ギーザー・
バトラーやビル・ワードと共演した。また自身のバンドであるFIGHTにおいてもSABBATHナンバーを取り
上げるなど、この当時はロブとSABBATHの距離感が非常に近く感じた。


 '96年にトニー・アイオミが行ったスタジオ・セッションにおいて、ヴォーカル候補にロブの名前が上
がると、一部では「ロブが新たなSABBATHのシンガーに決まった」という伝聞となって伝わり、ファンを
驚かせた。事実、ロブはアイオミとセッション行ったらしいが、結局ロブとアイオミは音源を「楽曲」
という形で残す事は無く、アイオミはグレン・ヒューズ (Vo/B) とのコラボレートに軌道修正している
(その結果がブート流出した「EIGHT STAR」であり、公式盤「THE 1996 DEP SESSIONS」である)。

 結果としてオジーとの再結成が成功し、ロブとアイオミの作品共演は幻と消えたが、アイオミがロブ
のキャラクターを活かした曲作りを行い、かつロブも後のHALFORDのような音楽性を指向すれば、傑作を
生み出せた可能性はあるだろう。





1994年
NATIVITY IN BLACK

「NATIVITY IN BLACK」
1. After Forever 7. Symptom Of The Universe
2. Children Of The Grave 8. The Wizard (Feat.Rob Halford)
3. Paranoid 9. Sabbath Bloody Sabbath
4. Supernaut 10. N.I.B.
5. Iron Man (Feat.Ozzy Osbourne) 11. War Pigs (Live)
6. Lord Of This World
12. Black Sabbath

 サバス人脈とロブのスタジオ音源における競演は、本作収録の「The Wizard」で
楽しめる。時代的側面があったにせよ、このアルバム全体がモダン・ヘヴィネス/
スラッシュメタル的で、まさにBLACK SABBATHの'90年代的アレンジ、という解釈が
ほとんど。しかしここで聴ける「The Wizard」そのものは割合原曲に忠実なアレン
ジで、この作品の中では割合に無難なカヴァーに仕上がっている。どうせならロブ
には「Symptom Of The Universe」を熱唱してもらいたかったが…。






"OZZFEST 2004"カムデン公演での共演 (2004年)

 1997年のオリジナル再結成以降、BLACK SABBATHはOZZFESTでのヘ
ッドライナー出演という形でツアーを重ねてきた。その中でも2004
年のOZZFESTは、ロブが復帰したJUDAS PRIESTが同行しており、その
点でも注目度が高いものになっていた。

 しかし同ツアー中の8月26日は、オジーが気管支炎で歌う事が出来
ず、急遽ロブがJUDAS PRIESTとBLACK SABBATH双方のフロントマンと
して、歴史的な「ダブルヘッダー」をこなす事態になった。

 ロブとSABBATH、双方にとって12年ぶりとなるステージでの共演
は、あまりにも突然な形で実現したのである。






1. Introduction
2. SABBATH Medley
3. Supertzar
4. War Pigs
5. N.I.B.
6. Fairies Wear Boots
7. Into The Void
8. Black Sabbath
9. Iron Man
10. Children Of The Grave
11. Paranoid
2004年8月26日 ニュージャージー州カムデン公演
"ROBBED IN NEW JERSEY"(CD)
"IRON GOD"(DVD)

 ロニーの出演拒否により、初めてロブがサバスに参加した'92年の「オジー引退ライヴ」では、多少なりともリハ
ーサルの余裕があった。だがこの日は急に依頼された本当の「代役」だったため、リハーサル云々以前の問題。ロブ
のパフォーマンスはほとんどカラオケ状態。特に「Paranoid」では歌の入りタイミングが遅かったり、ラストで歌詞
を失念して取り繕ったりと、正直厳しい。またJUDAS PRIESTから連続出演という事で疲労があったのか、声の出方も
余り良くない。その分、アイオミやギーザーの演奏は熱が篭っている。特に「Black Sabbath」終盤で聴けるギター
ソロは普段よりも長尺にプレイされ、内容も優れている。

 連続ステージという過酷な任務、誰もが尻込む「オジーの代役」をこなしたロブの「男気」は、高く評価したい。
アイオミ,バトラー,ワードというラインナップをバックにライヴで歌ったシンガーは、オジー,ロニー,マーティ
ンというBLACK SABBATH歴代のシンガーに続く四人目の快挙。そういう意味でも、意義深いステージだ。