1976年
RAINBOW RISING

1977年
RAINBOW ON STAGE

1978年
LONG LIVE ROCK 'N' ROLL

1979年
DOWN TO EARTH
OVER THE TOP

1981年
TILT
LINE-UP
MSG
ONE NIGHT AT BUDOKAN

1983年
OCTOPUSS
SLIDE IT IN

1985年
PHENOMENA

1986年
EMERSON LAKE & POWELL

1987年
FORCEFIELD
TRIUMPH AND AGONY

1988年
K2

1989年
AFTER THE WAR

1991年
LET THE WILD RUN FREE

1992年
THE DRUMS ARE BACK!
BACK TO THE LIGHT

1997年
FACING THE ANIMAL
BEST OF COZY POWELL

1998年
ESPECIALLY FOR YOU

2006年
EDGE OF THE WORLD





コージー・パウエルのバンド活動とセッション活動

Cozy Powell's Hammer 1992


Brian May 1993
 コージー・パウエルのキャリアは、JEFF BECK GROUPやRAINBOWに
代表されるように、'70年代前半からすでに第一線にあった。


 特に日本ではRAINBOWやMICHAEL SCHENKER GROUPといった人気バン
ドでの活動もあり、リッチー・ブラックモアやロニー・ジェイム
ズ・ディオと並ぶ、絶対的な人気を誇った。もちろん米英において
もその支持は高い。トニー・アイオミも'88年のBLACK SABBATH再建
に当たり、彼と双頭体勢でバンドを牽引した。コージーの存在は、
トニー・マーティン時代の重要な要素である。


 彼は'80年代以降も、WHITESNAKEやEMERSON, LALE & POWELLといっ
たバンド活動を継続しながら、ソロ活動やセッション活動にもいそ
しんだ。彼の参加により注目を集めた作品やプロジェクトは多く、
それらの作品は今もなおファンから愛されている。


 ここではRAINBOW参加以降に本格化したハードロック/ヘヴィメタ
ル関連の作品(メインで紹介したBLACK SABBATH以外)と、コージー
の主だったソロ/プロジェクト作品を取り上げる。






1976年 - RAINBOW
"RISING" (虹を駆ける覇者)

Disc 1
"New York Mix"
1. Tarot Woman
2. Run With The Wolf
3. Starstruck
4. Do You Close Your Eyes
5. Stargazer
6. A Light In The Black

"Los Angeles Mix"
1. Tarot Woman
2. Run With The Wolf
3. Starstruck
4. Do You Close Your Eyes
5. Stargazer
6. A Light In The Black

Disc 2 "Rough Mix"
1. Tarot Woman
2. Run With The Wolf
3. Starstruck
4. Do You Close Your Eyes
5. Stargazer
6. A Light In The Black
7. Stargazer (Tour Rehearsals)
"Deluxe Edition"
「RISING」 (Deluxe Edition)
"RISING ROUGH MIX"


 ジェフ・ベックとの活動とソロシングル「DANCE WITH THE DEVIL」の
ヒットにより、イギリス本国やミュージシャン,音楽マニアの間では既
にコージーは有名人だったが、多くのライトなファンは、この作品でコ
ージーという男の存在を知ったのではないだろうか。

 ファンにとっては「Stargazer」や「A Light In TheBlack」での剛直
なバスドラ連打ばかりが印象に残りがちだが、私は「Starstruck」での
軽妙なシャッフルプレイにもコージー節のエッセンスを感じる。


 このアルバムといえば、完成直前のデモ音源"Rough Mix"を外せな
い。完成盤に近いミックスだが、フェイドアウトせずに最後まで聴ける
テイクや、歌い回しが(若干だが)異なる曲があるなど、聴き込ませる
音源である。最大の違いは「Stargazer」のイントロ部分。本来ならド
ラムのフィルインから始まる所を、ライヴと同様にトニー・カーレイの
キーボードソロが付属している。この音源そのものは2011年リリースの
"Deluxe Edition"で公式化されたが、その直前に出たアップグレード盤
ブート"Hidden Master"のほうが聴き応えのある音だった。







1977年 - RAINBOW
"ON STAGE"

「ON STAGE」
1. Kill The King
2. Man On The Silver Mountain
 - Blues - Starstruck
 - Man On The Silver Mountain (Reprise)
3. Catch The Rainbow
4. Mistreated
5. 16th Century Gleensleeves
6. Still I'm Sad


 リッチー・ロニー、そしてコージーの"三頭政治"時代。その人間関係が最も良好
で、演奏がポジティヴだった76年の来日公演をメインにしたライヴアルバム。

 この作品の詳細な解説も、既に行われ尽くした感があるので、ここでは個人的感
想に留める。

 この作品でのコージー最大の聴き所は「Mistreated」。リッチーのフリーソロか
ら主旋律に戻る際、「ダダンダ、ダンダン、ダン!」と簡潔かつ問答無用のアタッ
クを聴かせるコージーの格好よさは、言葉に出来ないくらいだ。

 もちろん「Still I'm Sad」での力強さと軽妙さが同居するプレイも最高だが、
この曲ではやはりドラムソロを聴きたかった・・・・・・。







1978年 - RAINBOW
"LONG LIVE ROCK 'N' ROLL"
(バビロンの城門)

Disc 1 (Original Album)
1. Long Live Rock 'N' Roll
2. Lady Of The Lake
3. L.A Connection
4. Gates Of Babylon
5. Kill The King
6. The Shed (Subtle)
7. Sensitive To Light
8. Rainbow Eyes

Disc 2
"Rough Mixes 1977"
1. Lady Of The Lake
2. Sensitive To Light
3. L.A. Connection
4. Kill The King
5. The Shed (Subtle)
6. Long Live Rock 'N' Roll
7. Rainbow Eyes
"Shepperton Film Studios Rehearsal 1977"
8.Long Live Rock 'N' Roll
9. Kill The King
"Don Kirshner's Rock Concert 1978"
10.Long Live Rock 'N' Roll
11. L.A. Connection
12. Gates Of Babylon
13. L.A. Connnection (Outtake Version)
14. Gates Of Babylon (Outtake Version)
Deluxe Edition
「LONG LIVE ROCK'N'ROLL」
"ROUGH MIX"

 前作「RISING」とともに、ロニー時代RAINBOWを代表する名作。
 コージーのドラミングに絞ってRAINBOWを聴く場合、スタジオアル
バムはこれが一番良いのではなかろうか。音質も良く、コージーの
プレイをじっくり堪能できる。


 タイトル曲「Long Live Rock 'N' Roll」のイントロからコージー
の自己主張は全開。「Gates Of Babylon」や「Kill The King」に至
っては、もはや言わずもがな。本作からコージーが参加した作品に
は最低一曲、コージーに作曲クレジットが与えられる契約がされた
という。ファン心理から言えば、コージーと他のドラマーでは曲の
印象そのものが変化してしまうのだから、彼が叩いた曲は全曲コー
ジーの名がクレジットされてもいいくらいだ。


 2012年には2枚組のデラックス・エディションが登場。ブートで流
出した"Rough Mix"が公式化された。これは歌入りの上にバッキング
が大きく異なるという、「完成盤に近いけれど異なる」デモ音源な
らではの面白さを楽しめる音源。資料的な価値は言うに及ばず、娯
楽性からも繰り返し楽しめるアイテムになっている。








1979年 - SOLO
"OVER THE TOP"

「OVER THE TOP」
1. Theme One
2. Killer
3. Heidi Goes To Town
4. El Sid
5. Sweet Poison
6. The Loner
7. Over The Top

 RAINBOW在籍中に発表された1stソロ・アルバム。
 内容的にはコージーがかつて所属していたJEFF BECK GROUPEの音楽性に近い、ジ
ャズ/フュージョンロックの色合いが強いものだった。しかしRAINBOWで得られた
ファンが落胆する事は無く、むしろ「Over The Top」の曲中で再現されたコージー
のドラムソロ「1812 Overture」に感動すら覚えたものだ。

 その他にも「Killer」で聴かれた、ゲイリー・ムーアとの壮絶バトルや、コージ
ーお得意のフレーズをそのまま楽曲化した「Theme One」、そして「The Loner」で
魅せたコージーの懐の深さなど、インストアルバムの教科書を地で行く好盤。







1979年 - RAINBOW
"DOWN TO EARTH"

Disc 1
1. All Night Long
2. Eyes Of The World
3. No Time To Lose
4. Makin' Love
5. Since You Been Gone
6. Love's No Friend
7. Danger Zone
8. Lost In Hollywood
9. Bad Girl
10. Weiss Heim

Disc 2 "Work In Progress"
1. All Night Long
2. Eyes Of The World #1
3. Spark Don't Mean A Fire
4. Makin' Love
5. Since You Been Gon
6. Ain't A Lot Of Love In The Heart Of Me #1
7. Danger Zone
8. Lost In Hollywood
9. Bad Girl
10. Ain't A Lot Of Love In The Heart Of Me #2
11. Eyes Of The World #2
12. All Night Long (Cozy Powell Mix)
"Deluxe Edition"
「DOWN TO EARTH」 (Deluxe Edition)
"ROUGH MIX"


 グラハム・ボネットを迎えて、RAINBOWが本格的にポップ路
線を歩みだした転機の作品。バンドの方針転換を嫌って脱退す
るコージーも、この時の音楽的な成果そのものはっかりと吸収
している。これまで叩いてきたジャズ・フュージョン、ハード
ロック、そしてここで得たポップの要素が、これから後の多彩
なセッション活動に結びついた事は間違いない。

 この作品も"Rough Mix"が有名。ブートで登場した音源は1曲
を除いて全編インストだったが、デラックス・エディションで
公式化された音源では歌入りが2曲になったほか、ブート未収
録の「Since You Been Gone」も含まれていた。また素材とな
ったと思われる音源も双方で明らかに異なっている。中でも
「Lost In Hollywood」はギターのミックスが大きく違ってい
る。さらに"Cozy Powell Mix"とされる「All Night Long」で
はグラハムの仮歌がうっすらと聞こえる。この"Rough Mix"は
公式・ブート双方とも非常に興味深い。








1981年
"TILT"
(サンダーストーム)

COZY POWELL / 「TILT」
1. Cat Moves
2. Sunset
3. Living A Lie
4. Hot Rock
5. The Blister
6. The Right Side
7. Jekyll & Hyde
8. Sooner Or Later


 コージーがM.S.G.在籍当時に発表した2ndソロ・アルバム。
 「Cat Moves」 -「Sunset」に至る流れでまず聴き手を圧倒。ジェフ・ベックの
ケレン味たっぷりのフュージョン・ギターが、息もつかせずゲイリー・ムーアの嗚
咽のメロディに交代する瞬間こそ、このアルバム最大の聴き所。そのゲイリーが一
転、アグレッシヴに弾き倒す「The Blister」も必聴の名ナンバー。

 前作は全編インスト作だったが、この作品では「Living A Lie」,「The Right
Side」,「Jekyll& Hyde」,「Sooner Or Later」の4曲でヴォーカル入り。確かに
地味ではあるが、「Living A Lie」はバラードの佳曲。しかしRAINBOWの直後だけ
に、ヴォーカリストが弱く感じてしまうのが残念。








1981年 - GRAHAM BONNET
"LINE-UP"
(孤独のナイトゲームズ)

「NIGHT GAMES」
1. Night Games
2. S.O.S.
3. I'm A Lover
4. Be My Baby
5. That's The Way That It Is
6. Liar
7. Anthony Boy
8. Dirty Hand
9. Out On The Water
10. Don't Stand In The Open
11. Set Me Free
(当時のシングル収録曲)
・. Bad Days Are Gone
・. Don't Tell Me To Go


 RAINBOWを脱退したグラハムが、'81年にリリースした3rdソロ・アルバム。
 テイクによって多少のバラツキはあるが、基本的にはコージー、グラハムほか、
ジョン・ロード(Key),ミッキー・ムーディ(G)といった顔ぶれで、かなりまと
まったバンド・サウンドを出している。

 方向性としてはには多少ハードロック寄りのAORといったサウンド。しかしハ
ードロック人脈を全面に押し出して製作した事もあり、「Night Games」などはブ
リティッシュ・ハードロックのお手本のような仕上がり。他にも「That's The
Way That It Is」や「Set Me Free」あたりで、グラハムのヴォーカルの特性を活
かした演奏が楽しめる。当時のシングルでリリースされた「Bad Days Are Gone」
なども優れた楽曲である。








1981年 - M.S.G.
"MSG"
(神話)

「MSG」
1. Ready To Rock
2. Attack Of The Mad Axeman
3. On And On
4. Let Sleeping Dogs Lie
5. But I Want More
6. Never Trust A Stranger
7. Looking For Love
8. Secondary Motion
(BONUS TRACKS)
9. Never Trust A Stranger (Rough Mix)
10. Natural Thing (Live)
11. Feels Like A Good Thing (Live)
12. Looking Out From Nowhere (Live)
13. Shoot, Shoot (Live)
14. Doctor, Doctor (Live)
15. Lights Out (Live)


 RAINBOWで"ハードロック・ドラマーの代表格"と化したコージーは、様々なミュ
ージシャンから参加要請がなされた。この時コージーが選んだ相手は同じ"ギター
ヒーロー"でも、リッチー・ブラックモアとは相当に毛色の違う存在だった。

 リッチーとの共演時は、緊張感の中にもどこかお互いを理解した、阿吽の呼吸の
ような安心感・信頼感を伴っていたが、マイケル シェンカーとの「競演」は、緊迫
感が漂っていたように思う。それを形にしたのが「Looking For Love」。この名曲
は鳴きのメロディという表現を超えて、聴く者に悲壮感すら抱かせる。地味ながら
「Never Trust A Stranger」と「Secondary Motion」も優れたバラードだ。








1981年 - M.S.G.
"ONE NIGHT AT BUDOKAN"
(飛翔伝説)

飛翔伝説
Disc 1
1. Armed And Ready
2. Cry For The Nations
3. Attack Of The Mad Axeman
4. But I Want More
5. Victim Of Illusion
6. Into The Arena
Disc 2
1. On And On
2. Never Trust A Stranger
3. Let Sleeping Dogs Lie
4. Tales Of Mystery
5. Cozy Powell Drum Solo
6. Courvoisier Concerto
7. Lost Horizons
8. Doctor Doctor
9. Are You Ready To Rock


 マイケル・シェンカーの初来日、それも初演となった1981年8月12日の日本武道
館公演を収録した公式ライヴ・アルバム。'02年のリマスター再発時に、従来カッ
トされていた「Tales Of Mystery」と「Cozy Powell Drum Solo」が収録され、完
全版となった。

 本作では常々、内容の編集やヴォーカルの差し替えが批判される。
 公式ライヴアルバム発売に際して、ライヴテイクに後からヴォーカルやギターの
リテイクを施す事を嫌う人は多いが、正規の商品として販売する以上は、誰が聴い
ても納得できる「作品」に仕上げる義務があると思う。その意味では、このライヴ
アルバムに関しても、正しい仕事がなされたと考える。

 一般にはこの来日公演でのコージーは、体調不良でプレイが良くないとされてい
る。しかしこの音を聴く限り、他の音源よりもプレイが劣るなどとは思えない。コ
ージーは「Into The Arena」や「Cry For The Nations」も良いプレイだ。








1983年 - SOLO
"OCTOPUSS"

「OCTOPUSS」
1. Up On The Downs
2. 633 Squadron
3. Octopuss
4. The Big Country
5. Formula One
6. Princetown
7. Dartmoore
8. The Rattler


 WHITESNAKE加入直前に製作された3rdソロ。再びオール・インスト作としてアル
バムの焦点を絞っている。メンバーには前作から引き続き参加したゲイリー・ムー
ア,ドン・エイリーほか、ジョン・ロードやコリン・ホッジキンソン(B)といっ
た腕利きが集結した。

 「633 Squadron」 -「Octopuss」 -「The Big Country」の3曲は、ライヴにおけ
る新たなドラムソロを再現した組曲。ロンドン交響楽団の重厚な演奏が、コージー
のドラマティックなプレイにより壮大なパノラマ感を与えている。

 「Dartmoore」は前作の「Sunset」と同一系統上にある泣きのメロディ。ゲイリ
ー・ファンならずとも無視できない名曲。デイヴィッド・カヴァデールが作曲に関
与した「The Rattler」は、本来マイケル・シェンカーに提供されるはずだった、
いわく付きのナンバー。







1983年 - WHITESNAKE
"SLIDE IT IN"

"U.S. Mix"
1. Gambler
2. Slide It In
3. Slow & Easy
4. Love Ain't No Stranger
5. Give Me More Time
6. Standing In The Shadow
7. Hungry For Love
8. All Or Nothing
9. Spit It Out
10. Guilty Of Love
11. Need Your Love So Bad

"U.K. Mix"
12. Gambler
13. Slide It In
14. Standing In The Shadow
15. Give Me More Time
16. Slow & Easy
17. Spit It Out
18. All Or Nothing
19. Guilty Of Love
20. Love Ain't No Stranger (Live)
"25th Anniversary"
「Slide It In」 (Deluxe Edition)
国内盤・1CD
「SLIDE IT IN」


 グラハム・ボネットをM.S.G.に誘ったものの、コージー自身は
マイケル・シェンカーと折り合いが悪く、「ASSAULT ATTACK」製
作中にバンドを脱退。デイヴィッド・カヴァデールの誘いを受け
てWHITESNAKE入りを果たす。

 この作品は"U.K. Mix"と"U.S. Mix"の二種類があり、一般には
ジョン サイクスが参加した後者が良いとされる。しかしコージー
のプレイを楽しむためには断然"U.K. Mix"を勧める。

 「Gambler」を聴き比べれば判り易いが、"U.S. Mix"では高音が
強調され、音が膨らんだ感触だが、"U.K. Mix"はズシンと低音が
腹に響き、なおかつ引き締まった音。個人的にはこの音造りこそ
がコージーの音色だと思う。アルバム全体でも好き勝手に叩くコ
ージーが格好良い。「Standing The Shadow」と「Love Ain't No
Stranger」はまさにコージーの独壇場だ。

 なお、かつての日本盤は"U.K. Mix"に準拠した盤が中心で、"U.
S. Mix"は数曲をセレクトした企画盤として発売されていた。しか
し現在では"U.S. Mix"が正規の内容に変更されてしまった。








1985年
"PHENOMENA"

「PHENOMENA」
1. Kiss Of Fire
2. Still The Night
3. Dance With The Devil
4. Phoenix Rising
5. Believe
6. Who's Watching You
7. Hell On Wings
8. Twilight Zone
9. Assassins Of The Night
10. Running With The Pack
11. Phenomena


 元TRAPEZE,WHITESNAKEのギタリストであるメル・ギャレーが、弟でコンポーザ
ーのトム・ギャレーと企画したプロジェクト。演奏陣は豪華メンバーが揃い、白熱
した演奏が優れた楽曲で展開された。

 コージーは全7曲(「Still The Night」,「Who's Watching You」,「Running
With The Pack」,「Phenomena」以外)でドラムを担当。グレン・ヒューズとの共
演という珍しいコンビネーションを披露している。

 このうち「Kiss Of Fire」は、デイヴィッド カヴァデールもWHITESNAKEにおい
てメル加入時にアイディアを使用。名曲「Gambler」として発展させている。コー
ジーは同一曲の異なるバージョンをそれぞれ叩いた事になる。







1986年 - E, L & POWELL
"EMERSON LAKE & POWELL"

「EMERSON, LAKE & POWELL」
1. The Score
2. Learning To Fly
3. The Miracle
4. Touch And Go
5. Love Blind
6. Step Aside
7. Lay Down Your Guns
8. Mars, The Bringer Of War
(BONUS TRACK)
9. The Loco - Motion
10. Vacant Possession


 WHITESNAKE脱退後、コージーは多方面のセッション活動に参加しつつも、新たな
バンド活動を模索した。そして意気投合したのがキース・エマーソン(Key)とグ
レッグ・レイク(B/Vo)だった。コージーにとってもプログレ・ハード路線は初
めてだったせいか、この作品では少々おとなしい印象。長尺の曲が多いという印象
があるが、実際は4分前後の小品がほとんどで、意外なくらいポップな曲が多い。

 本作ではこの時期コージーがドラムソロに用いていたホルストの「火星」を、
「Mars, The Bringer Of War」として収録しているのが大きな特徴。コージーがソ
ロアルバムに収録したドラムソロ曲の「Over The Top」や「633 Squadron」と一緒
に聴いても面白い。他にも「The Miracle」に「Touch And Go」などは、この編成
の旨みを集めた佳曲だろう。








1987年
"FORCEFIELD"

「FORCEFIELD」
1. Smoke On The Water
2. Set Me Free
3. Runaway
4. Sunshine On Your Love
5. White Room
6. Whole Lotta Love
7. Best Shot
8. Black Cat
9. You Really Got Me
10. Fire In The City
11. Keep On Running
12. Shine It On Me


 元IAN GILLAN BANDのギタリスト,レイ・フェンウィックの復帰をコージーが助
ける形で発足したプロジェクト。本来はシングルで「Smoke On The Water」をリリ
ースして終わるはずだったらしいが、オリジナル曲を作るうちに"リラックスして
楽しむプロジェクト"と化し、その後も2作目でトニー・マーティンを、3作目と4作
目でグラハム・ボネットらを引き込んで継続することになる。

 カバー曲は面白いものが多く、「Smoke On The Water」では短いながらもコージ
ーのソロを挟む。「Whole Lotta Love」ではコージーが叩く、"幻のLED ZEPPELIN"
を想像しても面白い。この後コージーはジョン・サイクスとBLUE MURDERを立ち上
げるが、結局離脱する。








1987年 - WARLOCK
"TRIUMPH AND AGONY "

「TRIUMPH AND AGONY 」
1. All We Are
2. Three Minutes Warning
3. I Rule The Ruins
4. Kiss Of Death
5. Make Time For Love
6. East Meets West
7. Touch Of Evil
8. Metal Tango
9. Cold, Cold World
10. Fur Immer


 ドイツの女性ヴォーカリスト,ドロ・ペッシュ率いるWARLOCKの4th。
 このバンドには別の専任ドラマーがいたが、当時バンドメンバーが、ウド・ダー
クシュナイダーのU.D.O.へ引き抜かれるなどしてトラブルが続いていた。その
ため本作では(シークレットに近い形ではあるが)コージーが多くの楽曲でドラム
を叩いている。ヴォーカルやコーラス優先という感じのミックスで、ドラムの音質
はかなり軽いのだが、それでもバスドラの連打や小気味良いオカズですぐに"コー
ジーの音"と判る辺り、さすがの一言。

 「All We Are」と「I Rule The Ruins」は、現在でもドロ・ペッシュがソロライ
ヴで取り上げる、彼女のキャリアでも屈指の名曲。








1988年 - DON AIREY
"K2 - TALES OF TRIUMPH & TRAGEDY"
(K2 - 栄光と悲劇の物語)

「K2」
1. Overture
2. Sea Of Dreams (Part 1)
3. Sea Of Dreams (Part 2)
4. Voice Of The Mountain
5. Song For Al
6. Balti Lament
7. Ascent To Camp 4
8. Can't Make Up Your Mind
9. Summit Fever
10. Close To The Sky
11. Blues For J.T.
12. Julie (If You Leave Me)
13. Death Zone / Whiteout
14. Song For Al (Reprise)


 ドン・エイリーが、ソロ名義では初めて発表したアルバム。
 ヒマラヤ登山に命を賭けた人々の生き様を音楽ドラマ化した壮大なコン
セプトアルバムで、映画サントラのような趣きもある。しかしロック・ア
ルバムとしても充実した内容で、随所にドンの技巧が冴える好盤。

 コージーは多くの曲でパワフルなドラミングを披露。作品の世界観をプ
レイの面から盛り上げている。さらに「Song For Al」ではゲイリー・ム
ーアがお得意の嗚咽フレーズを聴かせ、「DeathZone / Whiteout」では
VOWWOWの人見元基が、日本人離れしたソウルフルなヴォーカルをいかんな
く発揮している。








1989年 - GARY MOORE
"AFTER THE WAR"

「AFTER THE WAR 」
1. Danluce (Part 1)
2. After The War
3. Speak For Yourself
4. Livin' On Dreams
5. Led Clones
6. The Messiah Will Come Again
7. Running From The Storm
8. This Thing Called Love
9. Ready For Love
10. Blood Of Emeralds
11. Danluce (Part 2)
(BONUS TRACKS)
12. Emerald
13. Over The Hills And Far Away (Live)
14. Military Man (Live)

15. Wild Frontier (Live)


 ゲイリー・ムーアがハードロック路線において最後に発表したスタジオ作品。
 '80年代序盤はもっぱらコージーのソロアルバムにゲイリーが参加していたが、
ここで初めてコージーがゲイリーのアルバムに参加した。コージーは「Livin' On
Dreams」・「Led Clones」・「TheMessiah Will Come Again」・「Running From
The Storm」、「This Thing CalledLove」・「Ready For Love」の6曲でプレイし
ている(他の曲はサイモン・フィリップス)。

 コージーはツアーへの参加も承諾したが、細かく指示するゲイリーと相容れず、
結局はライヴ活動に至らず決裂した。コージーの叩く「OverThe Hills And Far
Away」や「Out In The Fields」などは聴いてみたかったが・・・・・・。








1991年 - FORCEFIELD
"LET THE WILD RUN FREE"

「LET THE WILD RUN FREE」
1. Let The Wild Run Free
2. Can't Get Enough
3. Money Talks
4. I Will Not Go Quietly
5. Women On Wings
6. Ball Of Confusion
7. Living By Numbers
8. The Wind Cries Mary
9. In A Perfect World


 1991年に発表された、FORCEFIELDプロジェクトの4作目。
 前作「TO OZ AND BACK」からはヴォーカルにグラハム・ボネットを迎え、久々の
グラハム・コージーの共演と言う事で話題になった。基本的な音楽性は当初と変わ
らず落ち着いた作風で、名曲のカバーとAOR的なオリジナル曲。しかし本作は
FORCEFIELDの作中でも、特にロック・ファン受けする内容に仕上がっている。

 ラス・バラード作曲の「Let The Wild Run Free」は、グラハムのキャラクター
へ似合っ、キャッチーでメロディアスな曲調。「Living By Numbers」もなかなか
格好よい優れたナンバーだ。「The Wind Cries Mary」と「In A Perfect World」
での艶のある歌いまわしは、本来グラハムが得意としているもの。

 またコージーのドラミングも落ち着いた方向性の中に彼らしさが渋く輝いてい
る。やっぱりコージーのプレイは、懐が深い。








1992年 - SOLO
"THE DRUMS ARE BACK"

「THE DRUMS ARE BACK」
1. The Drums Are Back
2. Ride To Win
3. I Wanna Hear Your Shout
4. Light In The Sky / Return Of The 7
5. Battle Hymn
6. Legend Of The Glass Mountain
7. Cryin'
8. Classical Gas
9. Somewhere In Time
10. The Rocket


 メンバー間の対立の末"落馬事故"でBLACK SABBATHから脱退した後、コージーは
約10年ぶりにソロ・アルバムの製作に着手。'92年に4thソロの本作を発表した。し
かし本作に対するプレスの評判は何故か冷淡だった。

 '80年代のソロ・アルバムとは異なって、ジャズ/フュージョン色が後退。入れ
替わるように"FORCEFIELD"的なリラックスした楽曲に、「Battle Hymn」で聴ける
ような、多少のBLACK SABBATH風の味付けがなされている。さらに「I Wanna Hear
Your Shout」と「Cryin'」の2曲でヴォーカル入り。

 なお、本作に参加したブライアン・メイは、当時製作中だったソロ作品「BACK
TO THE LIGHT」(コージーも参加)へ、「Ride To Win」を「Resurrection」に、
「Somewhere In Time」を「Nothin' But Blue」に発展させて収録。本作と「BACK
TO THE LIGHT」は"双子の関係"といえる。

 本作発表後、コージーはトニー・マーティンやニール・マーレイ,マリオ・パー
ガを迎え、"Cozy Powell's Hammer"としてドイツを短期間ツアーした。







1992年 - BRIAN MAY
"BACK TO THE LIGHT"

1. Dark
2. Back To The Light
3. Love Token
4. Resurrection
5. Too Much Love Will Kill You
6. Driven By You
7. Nothin' But Blue
8. I'm Scared
9. Last Horizon
10. Let Your Heart Rule Your Head
11. Just One Life
12. Rollin' Over

1993年 - BRIAN MAY
"LIVE AT THE BRIXTON ACADEMY"

1. Back To The Light
2. Driven By You
3. Tie Your Mother Down
4. Love Token
5. Headlong
6. Love Of My Life
7. 39 - Let Your Heart Rule Your Head
8. Too Much Love Will Kill You
9. Since You've Been Gone
10. Now I'm Here
11. Guitar Extravagance
12. Resurrection
13. Last Horizon
14. We Will Rock You
15. Hammer To Fall
スタジオ盤
「BACK TO THE LIGHT」
公式ライヴ

 BLACK SABBATHからの脱退後、コージーは自身のソロ活動と平行
して、ブライアン・メイのソロ活動に協力。スタジオアルバム
「BACK TO THE LIGHT」への参加と、リリースに伴うツアーも同行
して、パワフルなステージを披露した。

 スタジオアルバムの目玉は「Resurrection」だろう。コージー
が同じ'92年に製作した「THE DRUMS ARE BACK!」収録の「Ride
To Win」にヴォーカルを載せた同曲は、"With Cozy Powell"の但
し書きを見るまでも無く、ほとんどコージーが主役の曲。他にも
「Back To The Light」や「Nothin' But Blue」で情感溢れるプレ
イを聴かせるなど、バラエティも豊か。


 「LIVE AT THE BRIXTON ACADEMY」は、'93年6月15日,ロンドン
でのライヴを収録したもの。コージーがそれまで参加していたバ
ンドとは異なる、シアトリカルかつオペラティックなライヴ。コ
ージーのプレイはそれにしっかりフィットして、大きく魅せるド
ラミングが聴ける。特に「We Will Rock You」でのファンとステ
ージの一体感は絶品。「Since You've Been Gone」におけるブラ
イアンのヴォーカルも良い。美麗なハーモニーのコーラスも素晴
らしい。なお、'98年発表の「ANOTHER WORLD」にもコージーが参
加しているので、ファンならこちらも是非押さえておきたい。







1997年 - YNGWIE MALMSTEEN
"FACING THE ANIMAL"

「FACING THE ANIMAL」
1. Braveheart
2. Facing The Animal
3. Enemy
4. Sacrifice
5. Like An Angel
6. My Resurrection
7. Another Time
8. Heathens from The North
9. Alone In Paradise
10. End Of My Rope
11. Only The Strong
12. Poison In Your Veins
13. Air On A Theme


 イングヴェイがRAINBOWの主要人物とアルバムを共作するのは本作が3度目。
 「ぜひコージーらしいプレイ」を「もっと沢山」というイングヴェイの要望に応
え、コージーはファンが理想とするエネルギッシュなプレイを連発している。その
中でも「Facing The Animal」,「Another Time」,「My Resurrection」といった
ナンバーは秀逸。"コージーらしさ"のエッセンスが凝縮されている。

 イングヴェイは後に本作に触れて「コージーらの影響でソング・オリエンテッド
になった」と反省?しているが、それこそが多くのファンがイングヴェイに求めて
いる物ではないのか・・・・・・?








1997年 - SOLO
"THE BEST OF COZY POWELL"

「VERY BEST OF COZY POWELL」
1. Theme One
2. Killer
3. Sweet Poison
4. The Loner
5. Over The Top
6. Cat Moves
7. Sunset
8. Hot Rock
9. The Blister
10. Up On The Downs
11. Formula One
12. Dartmoore
13. 633 Squadron
14. Octopuss
15. The Big Country
16. The Rattler


 コージーの生前である'97年にリリースにされた、ソロ・アーティストとして
のコージーのベスト・アルバム。コージーは本作の編集に関与していなかった
との事だが、内容的には好感が持てる。'80年代のソロ3作品からのベストチョ
イスで、ヴォーカル曲も収録されておらず、自然とコージーのプレイへ耳が傾
くような編集がされている。

 本作ではゲイリー・ムーアが参加した全曲が収録されているので、ゲイリー
の曲だけ聴きたいというマニアにもうってつけの構成だ。








1998年- SOLO
"ESPECIALLY FOR YOU"

「ESPECIALLY FOR YOU」
1. Man With A Mission
2. Ivory Towers
3. Why Does Love Hurt
4. Haunted By The Devil
5. Doing The Natural Thing
6. All I Wanted Was Your Love
7. Call Me Mayhem
8. The Light
9. High Time To Fly
10. Make You A Man
11. Power In The Wrong Hands
12. You're All I Believe In


 1998年4月5日、コージーは不慮の交通事故から帰らぬ人となった。本作はその半
年後にリリースされた5thソロ・アルバム。

 作業そのものは以前から進められていたが、コージーが他のプロジェクトやバン
ド活動を優先したため、発表が見送られていた。多彩なゲストが参加した従来のソ
ロ作品と異なり、本作ではコージー,ニール・マーレイ(B),ジョン・ウェスト
(Vo),マイク・カズウェル(G)というバンド的ラインナップで作曲・収録され
ているそもそもソロというよりはプロジェクト的な性格が強い作品といえる。

 内容は落ち着いた作風のバンド・サウンドで、ジョン・ウェストの力感溢れる歌
唱が全編にわたって楽しめる。「All I Wanted Was Your Love」は作品のハイライ
ト。これがコージーへの鎮魂歌になってしまった事が、何よりも悔やまれる。








2006年 - GLEN TIPTON
"EDGE OF THE WORLD"

GLENN TIPTON / 「EDGE OF THE WORLD」
1. Unknown Soldier
2. Friendly Fire
3. Holy Man
4. Never Say Die
5. Resolution
6. Searching
7. Give Blood
8. Crime Of Passion
9. Walls Cave In
10. Edge Of The World
11. Stronger Than The Drug


 JUDAS PRIESTのグレン・ティプトン(G)が1997年にリリースしたソロアルバム
「BAPTISM OF FIRE」では、製作当初にレコーディングされたものの、レコード会
社の「オールド・スクール過ぎる」という理由で使用されず、お蔵入りになってい
た素材があった。本作はそのテイクをを2006年になって公式化したもの。メンバー
はティプトン(Vo / G)のほか、コージー、ジョン・エントウィッスル(B)。し
っかりとしたバンドサウンドでまとめられた作風で、JUDAS PRIESTのカラーである
"メタリックなサウンドメ"と、彼本来の持ち味である"ブリティッシュらしい湿り
気メロディ"がしっかりと共存している。

 冒頭の「Unknown Soldier」 - 「Friendly Fire」でのインパクトは強烈だが、
アルバムが後半になるにつれ、ミッドテンポでじっくり聴かせる曲が支配的になっ
ていく。また「The Holy Man」や「Never Say Die」では、コージー節がそこかし
こで聴き取れ、ファンを喜ばせてくれる。