1995年
PLASTIC PLANET

1997年
BLACK SCIENCE

2005年
OHMWORK




ギーザー・バトラーのソロ活動

GEEZER BUTLER BAND 1986


GZR 2005
 '84年中盤になると、BLACK SABBATHは一時的に解散状態に陥る。
この時ギーザーは甥のペドロ・ハウス(G)らを引き連れて、自分自身
のバンドを編成した。BLACK SABBATH時代の楽曲とは大きく異なるハ
ードポップ・AOR的な楽曲を揃え、イギリスのクラブを中心にラ
イヴ活動を行った。

 このGEEZER BUTLER BANDはスタジオ・アルバムという形を残す事
が出来なかったが、ギーザーは'91年のSABBATH復帰にあたって何曲
かのアイディアをデモとして持ち込み、そのうち幾つかはSABBATHの
曲としてカタログに刻まれた。


 再度SABBATHを脱退した後の'95年には、またもやオジーのソロ活
動に協力した。ギーザーはそれと平行して新たなプロジェクトを立
ち上げ、自身初めてのソロアルバムである「PLASTIC PLANET」をリ
リースした。

 この時の音楽性は、過去のGEEZER BUTLER BANDとは真逆の、当時
流行のヘヴィミュージックに根ざしたもの。インダストリアル畑出
身のプレイヤーを迎えて、年齢を感じさせない強烈なサウンドを展
開した。'97年のオリジナルSABBATH再結成後もこのソロプロジェク
トは継続され、'05年にはアイオミのソロアルバムリリースとほぼと
同時期に3rdソロ「OHMWORK」を発表している。





1995年
"PLASTIC PLANET"

「PLASTIC PLANET」
 1. Catatonic Eclipse
 2. Drive Boy, Shooting
 3. Giving Up The Ghost
 4. Plastic Planet
 5. The Invisible
 6. Seance Fiction
 7. House Of Clouds
 8. Detective 27
9. X 13
10. Sci-Clone
11. Cycle Of Sixty

(BONUS TRACK)
12. Drive Boy, Shooting (Live)
13. Detective 27 (Live)
14. House Of Clouds (Live)


 ギーザーがソロ活動において初めてリリースしたアルバム。ギターに甥のペドロ・
ハウス、ドラムにオジーのバンドで知り合ったディーン・カストロノヴォを擁して基
本的なラインナップを固め、ヴォーカルにはFEAR FACTORYのバートン・C・ベルを招
いた。内容的には当時のシーンで主流となっていたインダストリアルに属するヘヴィ
ミュージック。全曲これ轟音の洪水で、咆哮するヴォーカル、凶悪に歪むギター、弾
丸の炸裂するようなキック多用のドラムスという強面たちの背後に、ギーザーのベー
スが大親分のように居座る。日本盤ラスト3曲収録のライヴテイクは、アルバム発表
後に行われた6回だけのショウで収録された貴重なテイク。







1997年
"BLACK SCIENCE"

「BLACK SCIENCE」
1. Man In A Suitcase
2. Box Of Six
3. Mysterons
4. Justified
5. Department S
6. Area Code 51
7. Has To Be
8. Number 5
9. Among The Cybermen
10. Unspeakable Elvis
11. Xodiak
12. Northern Wisdom
13. Trinity Road

(BONUS TRACK)
14. Beach Skeleton


 シンガーにクラーク・ブラウンを迎えた2作目。ギーザーいわく「ウルトラ・ヘヴ
ィ」の作品。クラークも前任者と同じく、基本的には現代的な吐き付けるようなラウ
ドスタイルのヴォーカルだが、バートンよりもハスキーな声色で、より器用にギーザ
ーの曲へ対応できそうなタイプ。

 モダンヘヴィ路線は前作同様だが、ドラムン・ベースやジャングルのリズムといっ
た当時流行のテクノロジーを取り入れて、さらに最先端の若手に対するアプローチを
強めている。「Northern Wisdom」はその典型だが、ここではクラークが流麗な歌声
を聴かせており、様々な意味でアルバムのアクセントになっている。







2005年
"OHMWORK"

「OHMWORK」
1. Misfit
2. Pardon My Depression
3. Prisoner 103
4. I Believe
5. Aural Sects
6. Pseudocide
7. Pull The String
8. Alone
9. Dogs Of Whore
10. Don't You Know


 SABBATHの活動が一段落して、8年ぶりにリリースされた3rd。ドラムがチャド・ス
ミスに交代している(グレン・ヒューズお気に入りの、RED HOT CHILI PEPPERSのチ
ャドとは別人)。

 オリジナルSABBATHでの活動を通して「シンプルなスタイル」への回帰が強まった
のか、前作のようなテクノロジー多用は影を潜めた。ギーザーが従来のソロで追求し
てきたヘヴィミュージック路線を、ギターとベースのヘヴィリフが楽曲を主導すると
いう、SABBATHタイプのスタイルで再構築している。

 分厚いギターリフがクールな「Misfit」はSABBATHスタイル直流の佳曲。ラップの
要素を取り入れた「Prisoner 103」もサマになっている。アコースティックなパート
と轟音が入れ替わりに顔をのぞかせる「I Believe」は印象的。「Pseudocide」の激
しさはベテランミュージシャンのそれではない。

 ギーザーの「気の若さ」がことさら感じられる作品。