1970年
BLACK SABBATH

1971年

1972年

1973年

1975年
SABOTAGE

1976年
TECHNICAL ECSTASY

1978年
NEVER SAY DIE!

1980年
LIVE AT LAST

1998年
REUNION

2013年
13
GATHERED IN THEIR MASSES

2016年
THE END

2017年
THE END:LIVE IN BIRMINGHAM






1970
BLACK SABBATH / 黒い安息日

 1970年2月13日、いわゆる13日の金曜日に発表された事は有名。
一夜にしてバンドのイメージを聞き手に刷り込んだ。


 しかし意外にも、後年にイメージされる「サバスらしさ」や世界
観を持つ曲は「Black Sabbath」・「The Wizard」・「N.I.B.」の
三曲程度。他の曲は奇妙な雰囲気を持つとはいえ、ヘヴィブルーズ
やジャズロックに類するものだ。しかし「Warning」は、曲構成の
大半を占めるインスト・パートで、後々まで続くアイオミ式のギタ
ーソロが炸裂しているし、「Behind The Wall Of Sleep」のラスト
では「N.I.B.」へ続く形でギーザーのあの有名なベースソロが披露
されたりと、彼らの音楽的エッセンスが凝縮されている。


 なお、本作は'70年代中盤にQUADRAPHONIC MIXが製作されたと伝
わり、「Black Sabbath」と「Wicked World」の2曲を収めた、それ
らしいブートも出てはいるが、はっきりとした事は現時点でも良く
判らない。
Released: 13 February 1970
Recorded: Regent Sound Studios, London, 16 October 1969
Producer: Rodger Bain
1. Black Sabbath
バンドの代名詞として全期間で演奏。
2. The Wizard
'94年にセット入り。'01年のオズフェストで演奏された。
3. Behind The Wall Of Sleep
'97年の再結成ライヴでも演奏された。
4. N.I.B.
導入のベースソロは有名。
5. Evil Woman

6. Sleeping Village
'05年に、「Children Of The Grave」の導入に演奏。
7. Warning

8. Wicked World
各人のソロやジャムセッションパートを取り込むアレンジで演奏。



2009
BLACK SABBATH Deluxe Edition (2CD)
 '09年にリリースされた、1stのボーナスディスク付きデラックスエディション。所々に入るメンバーの会話などから当時のスタジオにおける雰囲気を感じ取れ、そこが非常に興味深い。

 1stアルバムについては、以前にザック・ワイルドが「フリージャムっぽい雰囲気があって、そこが良い」と話していたように記憶している。このDisc 2で聴ける「The Wizard」に「Behind TheWall Of Sleep」は、まさにそのフリージャム・スタジオライヴ的なムードが充満していて、この生っぽさが最高に面白い。
 また、ホーンやフルートがフィーチャーされた「Evil Woman」も、今まで聴いてきたテイクとの感触の違いが大きく、奇妙な明るさが曲のエキセントリックさを増している。

 なお、「N.I.B.」のボーナステイクは「Instrumental」と表記されていたが、実際には歌が入っている。
Disc 1 (Original Album)
1. Black Sabbath
2. The Wizard
3. Behind The Wall Of Sleep
4. N.I.B.
5. Evil Woman (Don't Play Game With Me)
6. Sleeping Village
7. Warning
Disc 2 (Bonus Tracks)
1. Wicked World
2. Black Sabbath (Outtake)
3. Black Sabbath (Instrumental
4. The Wizard (Outtake)
5. Behind The Wall Of Sleep (Outtake)
6. N.I.B. (Instrumental)
7. Evil Woman (AlternateVersion)
8. Sleeping Village (Intro)
9. Warning (Part 1)





1970
PARANOID / パラノイド

 現在まで続くBLACK SABBATHの、バンドとしての方向性を決定付
けた作品。


 識者曰く「重く沈みこむリフ」,「分厚いギターとベースの音造
り」が、「War Pigs」・「Paranoid」・「Iron Man」という超有名
曲で余す所無く展開される(これらの曲については最早語り尽くさ
れている感もある)。いずれの楽曲も、バンドだけでなくメタルと
いうジャンルを代表する名曲ぞろいだ。

 また、このアルバムで試みられた曲の展開手法やソロの構成等が
後年の作品でも踏襲されている。


 余談だが、アメリカ盤では「War Pigs」の後半のインスト部分が
「Lukas Wall」・「Fairies Wear Boots」の導入部分が「Jake
The Ripper」という名称を与えられ、別曲として扱われていた。
Released: 18 September 1970
Recorded: 16 - 21 June 1970 at Regent Sound Studios and Island Studios, London
Producer: Rodger Bain
1. War Pigs
代表曲の一つとして全期間で演奏。
2. Paranoid
言わずと知れた代表曲。ほとんどのショウで演奏されている。
3. Planet Caravan

4. Iron Man
グレン・レイ時代のみセットを外れた。
5. Electiric Funeral
オジー時代のみ、頻繁にセット入りしている。
6. Hand Of Doom
主に初期での演奏を確認できる。
7. Rat Salad
'70年代は「Hand Of Doom」ラストで演奏。2013年ツアーで復活。
8. Faries Wear Boots
オジー時代の主要曲の一つ。'92年の再結成でも演奏。



2008
PARANOID Deluxe Edition (2CD+1DVD)
 '08年に発表された、2ndの3枚組デラックスエディション。
 リリース告知から実際に発売されるまで紆余曲折があったが、それだけに感慨もひとしおの内容である。

 ボーナスディスクのうち、DVD盤のDisc 2は、'74年に製作されたとされる4chミックスが全編収録され、今までブート収録されてきた同作の完全な姿がうかがい知れるようになった (しかし多くのファンに配慮したのか、DVD - Audio形式ではなく、静止画像に音を当てたムービー形式)。
 CD盤のボーナスディスクは、本作まる一枚分のアウトテイクであり、こちらも資料的価値が大きい。
 ほとんどがヴォーカルレスのインスト形式になっており、繰り返し楽しめるかは人によると思う。しかしその中でも、歌詞違いの歌入りで収録されている「Paranoid」と「Planet Caravan」は非常に面白い。1stや3rdの歌詞違いテイクを集めて楽しめば、より興味深く味わえる。
Disc 1 / CD
(Original Album)
1. War Pigs
2. Paranoid
3. Planet Caravan
4. Iron Man
5. Electric Funeral
6. Hand Of Doom
7. Rat Salad
8. Fairies Wear Boots
Disc 2 / DVD
(1974 Quadraphonic Mix)
1. War Pigs
2. Paranoid
3. Planet Caravan
4. Iron Man
5. Electric Funeral
6. Hand Of Doom
7. Rat Salad
8. Fairies Wear Boots
Disc 3 / CD
(Bonus Tracks)
1. War Pigs
2. Paranoid
3. Planet Caravan
4. Iron Man
5. Electric Funeral
6. Hand Of Doom
7. Rat Salad
8. Fairies Wear Boots





1971
MASTER OF REALITY / マスター・オブ・リアリティ

 デビュー以来連続してプラチナを獲得したサバスは、ここで遂に
予約段階でゴールドディスクを手に入れてしまう。

 アルバム内容もそれに相応しく、「究極」のヘヴィネスを聴かせ
てくれた。まさに歴史的傑作である。


 オジーがソロ転向後も度々取り上げた「Sweet Leaf」に始まり、
ライヴの定番曲「Children Of The Grave」ほか、その他「Lord
Of This World」,「Into The Void」,「After Forever」など、
ほとんどすべての曲が後のライヴで演奏されているという、サバス
版「MACHINE HEAD」とも言い得る内容の充実ぶりに、ただただ圧倒
される。


 ヘヴィな曲の前に静かな小品のインストやバラードを置き、展開
にメリハリをつける、サバス的なアルバム構成がはっきりするのも
本作からである。
Released: 21 July 1971
Recorded: 1 January - May 1971 at Island Studios in London, England
Producer: Rodger Bain
1. Sweet Leaf
オジー時代は頻繁に演奏。'80年代も時折セットに入った。
2. After Forever
'再結成後の'98年以降、本格的に演奏されるようになった。
3. Embryo
オジー時代のみ「Children Of The Grave」の前奏を務める。
4. Children Of The Grave
ライヴの定番曲として、各シンガーのテイクが存在する。
5. Orchid
アイオミのギターソロ中でも時折演奏された。
6. Lord Of This World
'97年の再結成ライヴで「Orchid」と共に演奏。
7. Solitude

8. Into The Void
オジー時代は主として「Wicked World」のジャムパートで演奏。



2009
MASTER OF REALITY Deluxe Edition (2CD+1DVD)
 私は本作が初期SABBATHの作品中でも特に好きなだけに、今回のボーナス付きデラックスエディションはまさに待望の発売だった。

 「Weevil Woman '71」は当初、1stの「Evil Woman」のクレジットミスかと怪しんでいた。しかし実際に聴いてみると、今まで存在すら知らなかった未知のアウトテイクであった。これは大きな驚きだった。

 それにも増して「Children Of The Grave」など、代表曲の歌詞・一部メロディ・アレンジ違いは、今まで多くのミュージシャンのパターンでも馴染んでいた曲だけに、衝撃的ですらあった。
 若き日のアイオミがカウントを入れて始まる「Orchid」は一発録音の雰囲気が、最後の「Into The Void」は完成版よりも早いテンポが、それぞれライヴ感覚を漂わせている。40年以上も昔の作品なのに、今なお曲のいずれもが目新しさを感じさせる。
Disc 1 (Original Album)
1. Sweet Leaf
2. After Forever
3. Embryo
4. Children Of The Grave
5. Orchid
6. Lord Of This World
7. Solitude
8. Into The Void
Disc 2 (Bonus Tracks)
1. Weevil Woman '71
2. Sweet Leaf (Outtake)
3. After Forever (Instrumental)
4. Children Of The Grave (Alternate Lyrics)
5. Children Of The Grave (Instrumental)
6. Orchid (With Tony Count In)
7. Lord Of This World(Feat.Piano & Slide Guitar)
8. Solitude (Intro with Alternate Guitar Turning)
9. Into The Void "Spanish Sid" (Alternate Version)





1972
VOL.4 / ブラック サバス 4

 一般的には、この作品が初期サバスの最高傑作とされる。

 「Wheels Of Confusion」冒頭の官能的ギターソロに続くドラマ
ティックな展開は最高だし、さらりとした後味の「Changes」は、
オジーのキャリアの中でもトップクラスのバラードだろう。

 それとは対照的な「Cornucopia」と「Under The Sun」は、壮絶
なまでのヘヴィネスで聴く者を押しつぶす。

 その反面で「Supernaut」、「St, Vitus Dance」という軽妙なロ
ックンロールナンバーがあったり、「Laguna Sunrise」でサバスら
しからぬ顔を見せるなど、バラエティは実に豊か。


 しかし人によっては「Snowbrind」は許容範囲でも「Under The
Sun」は苦しいと感じる向きもあるし、インスト「FX」(エフェク
ツ)が嫌われたりと、意外と聴く人を選んでしまうアルバムでもあ
る。
Released: 25 September 1972
Recorded: May 1972 at Record Plant Studios in Los Angeles,
Snowblind/Tomorrow's Dream backing tracks recorded Jan/Feb/March 1972 at Marquee Studios
(over-rdubs, mixing, mastering, at Olympic/Trident Studios, UK, June 1972)
Producer: Patrick Meehan, Black Sabbath
01. Wheels Of Confusion '72年アメリカツアー,2012年バーミンガム公演で演奏。
02. Tomorrow's Dream 「Vol.4」ツアーのオープニングを飾った。
03. Changes これも'70年代は2回だけ演奏。'95年のアジアツアーで復活。
04. FX
05. Supernaut 「Paranoid」イントロやライヴ中盤のジャムで演奏。
06. Snowblind '72年以降ライヴの定番になるが、オジー時代のみ演奏。
07. Cornucopia 「Vol.4」ツアーのみ演奏。
08. Laguna Sunrise ライヴのアウトロとしてしばしば使用された。
09. St. Vitus Dance
10. Under The Sun 「Vol.4」ツアーと'01年に小数回のみ演奏。2012年から定番化。





1973
SABBATH BLOODY SABBATH / 血まみれの安息日

 サバスはこの作品で、デビュー以来五作連続プラチナ獲得という
離れ業を成し遂げる。押しも押されぬモンスター・バンドとして、
アメリカにおける人気を不動のものとした。

 同時にこの時期から、バンド内におけるアイオミのリーダーシッ
プが強く発揮されはじめる。その最初の段階として、様々な音楽的
実験がここでなされている。作品のタイトルナンバーこそ、従来の
バンドのイメージ通りであるが、作品後半には実験精神が爆発。
「Looking ForToday」や「Spiral Architect」の明るさに、当時の
ファンは度肝を抜かれた事だろう。「Sabbra Cadabra」ではゲスト
としてYESのリック・ウェイクマンがキーボードで参加。これらの
曲や「Who Are You」ではプログレッシヴなフィーリングも漂って
いる。


 A面とB面の冒頭で従来のバンドらしさを提示しておいて、次第に
新しい試みの楽曲を披露するという手法は、奇しくも全く同時期に
第三期DEEP PURPLEが、「BURN」で行った手法と同じであり、当時
のミュージシャン達が新たな音楽的裾野の拡大に躍起になっていた
ことがよくうかがえる。


 なお本作は試験的にQUADRAPHONIC MIXが制作されたらしいが、は
っきりとした事は現時点でも不明。
Released: December 1973 - Jan 1974
Recorded: September 1973 at Morgan Studios (Studio 4), London
Producer: Black Sabbath
1. Sabbath Bloody Sabbath
一つの曲として完奏されたのは'94年になってから。
2. A national Acrobat
アルバム発表後のツアー序盤のみ演奏。
3. Fluff
ライヴ終演後の場内BGMとして使われた。
4. Sabbra Cadabra
'74-'76年のライヴで、ジャムセッション用の曲として演奏される。
5. Killing Yourself To Live
アルバム発表前から歌詞が異なるプロトタイプが演奏された。
6. Who Are You?

7. Looking For Today

8. Spiral Architect
「SABOTAGE」ツアーで、ライヴのセット最後を飾った。





1975
SABOTAGE / サボタージュ

 前作での反省を活かしつつ、サバスがその攻撃性を存分に発揮し
た衝撃作。本作でアイオミは、実験的精神を残しつつもバンドの音
楽性を優先した曲作りを行い、「Hole In The Sky」や「Symptom
Of TheUniverse」という強烈な楽曲を生み出した(当時のバンドを
取り巻く環境や、マネージメントへの怒りが曲に反映されたとも言
われる)。特に後者は現在のスラッシュメタルの原型として、後進
に大きな与えたことで名高い。


 「Megalomania」は当時のサバスには珍しい大作。ここで得られ
た成果が、後の「Heaven And Hell」などで実を結んだのではと思
わせる。ラストの「Am I Going Insaine」 - 「The Writ」に至る
流れは、大音量で聴いていると本当に錯乱してしまいそうな(当時
のサバスにしか出来ないような)、狂気をはらんだナンバーだ。


 なお本作も「SABBATH BLOODY SABBATH」と同様に、試験的に4チ
ャンネル・ミックスが制作されたらしく、そのテイクと称する音源
を収めたブートも存在する。しかしこちらも、はっきりとした事は
現時点でも不明。
Released: July - September 1975
Recorded: February - March 1975 at Morgan Studios in London, England
Producer: Black Sabbath, Mike Butcher
1. Hole In The Sky
「SABOTAGE」ツアーでオープニングを務めたのみ。
2. Don't Start (Too Late)
アイオミのギターソロで時折触れられた。
3. Symptom Of The Universe
'77年と'78年にはセットのオープニングを飾った。
4. Megalomania
基本的に「SABOTAGE」ツアーのみ。'76年ライヴでもまれに演奏。
5. The Thrill Of It All

6. Supertzar
バンド定番の「出ばやし」として使用される。
7. Am I Going Insane (Radio)

8. The Writ






1976
TECHNICAL ECSTASY / テクニカル・エクスタシー

 前々作以来積み重ねたテクノロジーの導入という実験は、ここで
大きな成果を収める。

 本作ではアイオミが主にジェズ・ウッドロフと共同で曲作りを行
った。それにより得られた楽曲の充実ぶりは素晴らしく、聞き込む
ほどに過去の駄作というレッテルが信じられなくなっていく。


 「Back Street Kids」は「Neon Knights」の雛型になったと考え
られる力強い疾走ナンバー。おごそかなキーボードにヘヴィなギタ

ーが被る中、オジーが切々と歌う「You Won't Change Me」,歪ん
だギターと明るい曲想が共存した「Gypsy」も良い。切なさに沈ん
だ後に重厚な音世界を力強く歩む「She's Gone」から「Dirty
Women」での締めくくりはまるで一つのドラマのようだ。


 作品のライナーノーツにあるとおり、オジーのヴォーカルメロデ
ィはこの辺りからソロ時代のものに近くなる。ソロでのオジーの楽
曲はバラードにおいてなかなか優れた曲が多いが、このアルバム収
録のバラードを聴けば、それも納得ができる。
Released: 25 September 1976
Recorded: June 1976, Criteria Studios, Miami, Florida, US
Producer: Black Sabbath
1. Back Street Kids

2. You Won't Change Me

3. It's Alright
ビル・ワードがソロライヴで歌唱。
4. Gypsy
アルバム発表時のツアーのみ演奏。
5. All Moving Parts (Stand Still)
'76年のツアー前半のみ演奏された。
6. Rock 'N' Roll Doctor
オジー時代は'76-'77年ツアーのみ。ギラン時代にも演奏。
7. She's Gone
'78年ツアーのアウトロとして使用された。
8. Dirty Women
オジー時代後期の代表曲として、再結成後も演奏された。





1978
NEVER SAY DIE! / ネヴァー・セイ・ダイ!

 オジーの脱退・再加入というトラブルの最中に生み出された、'70
年代オリジナルサバスの最終作。製作時の混乱が作品に反映された
のは明らかだが、彼らの音楽的背景が素のままに曲として加工され
ているとも言える。

 このアルバムの目玉は名キーボード,ドン・エイリーの活躍だ。
「Johnny Blade」,「Junior's Eyes」,「Air Dance」でのプレイ
が、本作の大きな聴き所だろう。

(ドンによれば他にもタイトル曲と「Over To You」でプレイした
との事。なお最初に参加したナンバーは「Air Dance」らしい)


 まるで別バンドのように明るい(何しろヘヴィリフが無い!)タ
イトル曲「Never Say Die」も驚きだが、ラストの「Blakeout」か
ら「Swinging The Chain」のジャズロックナンバーは衝撃。しかし
これが本来サバスが土壌とした音楽で、初期の「Wicked World」と
同じ根から生じているものだと思う。ここでヴォーカルを取ったの
はドラマーのビル・ワード。彼は「TECHNICAL ECSTASY」収録の
「It's Allright」や、「SABOTAGE」ラストの隠し曲と、初期サバ
スの数曲で歌っている。なかなかブルージーな声質で、サバス歴代
のシンガーとはまた違った魅力がある。

 サバスはかつて六人編成のジャズロックバンドであり、その中に
はホーンセクションの担当もいた。 この六人編成が続けば、この
ような音楽を初期から演奏していたかも知れない。
Released: 28 September 1978
Recorded: January - May 1978 at Sound Interchange, Toronto, Ontario
Producer: Black Sabbath
1. Never Say Die
アルバム発表に伴うツアーのみで取り上げられた。
2. Johnny Blade

3. Junior's Eye
デイヴ・ウォーカー在籍時、プロトタイプをテレビ番組で演奏。
4. A Hard Road
ツアーでは演奏されなかったが、ビデオクリップが製作された。
5. Shock Wave
'78年のツアーのみの演奏。その後は演奏されていない。
6. Air Dance

7. Over To You

8. Breakout
ホーンセクションを導入。
9. Swinging The Chain
ビル・ワードが歌唱。



2004
NEVER SAY DIE! (DVD)
 '78年6月19日のロンドン"ハマースミス・オデオン"公演の模様を収めた公式ライヴ映像作品。'70年代のオリジナルSABBATHでは複数のプロショット映像が存在しているが、公式ではヒストリー・ビデオなど断片的な素材が中心で、多くはブートに頼らねばならない。それだけに「'70年代のライヴをまとまった形で収録した映像」である本作は重要な位置づけにある。

 当時のセットリストから「Faries Wear Boots」や「N.I.B.」ほか、ジャムセッション・パート中の「Iron Man」がカットされているものの、'70年代の主要な楽曲を網羅してはいる。
 アルバム「NEVER SAY DIE!」を最後に崩壊するオリジナルラインナップだが、ここで見られる演奏は、'70年代の彼ららしい熱のこもったライヴである。
 また、この映像ではステージ中央にギター、右にボーカルという、'70年代SABBATHの独特な配置もしっかり確認できる。
01. Symptom Of The Universe
02. War Pigs
03. Snowblind
04. Never Say Die
05. Black Sabbath
06. Dirty Women
07. Rock 'N' Roll Doctor
08. Electric Funeral
09. Children Of TheGrave
10. Paranoid





1980
LIVE AT LAST / ライヴ・アット・ラスト

 本来は「SABBATH BLOODY SABBATH」と同時に発表されるはずだっ
た、(厳密には公式ではないが)サバス初のライヴアルバム。

 「VOL.4」ツアー終盤の'73年3月、イギリスツアーの2公演で録音
されたものの、録音状態の悪さなど各種の事情から発表が見送られ
てきた。

 しかし「HEAVEN AND HELL」人気でバンドへの評価が回復した
1980年、レコード会社が(ほぼ集金目的で)勝手に発表した事もあ
り、バンド側からは長く「半ブート」扱いを受けてきた。


 確かにサウンドはノイジーだが、演奏のエネルギーと凄みは圧倒
的である。むしろこの音質が、当時のバンドが放った荒々しいライ
ヴのエネルギーを増幅しているような感覚さえある。

 オープニングの「Tomorrow's Dream」や、初期バージョン(歌詞
違い)の「Killing Yourself To Die」,長大なジャムセッショ
ン・パートで「Supernaut」等を含む「Wicked World」は、初期オ
リジナルSABBATHのライヴがいかに凄まじかったかを伝えている。
Released: July 1980
Recorded: Manchester, 11 March 1973 and London, 16 March 1973
Producer: Patrick Meehan
1. Tomorrow's Dream
2. Sweet Leaf
3. Killing Yourself To Live
4. Cornucopia
5. Snowblind
6. Embryo - Children Of The Grave
7. War Pigs
8. Wicked World
9. Paranoid



2003
PAST LIVES / パスト・ライヴス
 '03年にリリースされた、'70年代サバスのライヴ音源集。
 「LIVE AT LAST」と、レアライヴテイク集の2枚組。

 Disc 1は「LIVE AT LAST」をリマスターし、一部曲間にフェイド処理などを施している。

 Disc 2のレアテイク集は、それぞれの"初公式化"が話題となった。聴けるテイク自体はすでにブートで知られてきた音源だが、貴重なテイクを公式として聴ける点に意味がある。
 ここでの目玉は'70年の「Hand Of Doom」に、'75年の「Hole InThe Sky」および「Megalomania」の3曲。いずれも現在の再結成ライヴでは取り上げられていない。
 アレンジはスタジオバージョンに準拠しており、また演奏もだいぶ粗い感じがする。しかし若いサバスのエネルギーと資料的価値が、それらを補って余りある。
Disc 1 (LIVE AT LAST Remaster)
1. Tomorrow's Dream
2. Sweet Leaf
3. Killing Yourself To Live
4. Cornucopia
5. Snowblind
6. Embryo - Children Of The Grave
7. War Pigs
8. Wicked World
9. Paranoid
Disc 2
1. Hand Of Doom
2. Hole In The Sky
3. Symptom Of The Universe
4. Megalomania
5. Iron Man
6. Black Sabbath
7. N.I.B.
8. Behind The Wall Of Sleep
9. Fairies Wesr Boots





1998
REUNION / リユニオン

 '97年12月4日・5日のバーミンガムでのライヴをパックした、記
念碑的アルバム。


 バンドの各人がそれぞれ長いキャリアを積み重ねた果ての再結成
ゆえに、音楽的な成熟度は70年代の比ではない。メンバー個々の旨
みが堪能できる楽曲、現代のテクノロジーで演出されたサバス・ク
ラシックはどれも聴き応え満点。アイオミはライヴ録音を急ぎ過ぎ
たとしているが、演奏は素晴らしく、オジーの調子も良い。

 「SpiralArchitect」や「Lord Of This World」といったレア曲
だけでなく、'70年代後半の「Dirty Women」などは大きな聴き所。
何より観客の反応が演奏以上に凄まじく、いかにオリジナル再結成
がファンから求められていたかが理解できる。


 ラスト2曲は新録音のスタジオテイク。この「Psycho Man」と
「Selling My Soul」には、プロモーション用のCDが存在し、それ
らは本作に収録されたものとは別バージョンになる。
Released: October 1998
Live Recorded: Birmingham NEC, 4 - 5 December 1997
Studio Tracks Recorded: A&M Studios, Hollywood, California, April - May 1998
Producer: Thom Panunzio (Live Tracks), Bob Marlette (Studio Tracks)
Disc 1
1. War Pigs
2. Behind The Wall Of Sleep
3. N.I.B.
4. Fairies Wear Boots
5. Electric Funeral
6. Sweet Leaf
7. Spiral Architect
8. Into The Void
9. Snowblind
Disc 2
1. Sabbath Bloody Sabbath
2. Orchid - Lord Of This World
3. Dirty Women
4. Black Sabbath
5. Iron Man
6. Children Of The Grave
7. Paranoid
(STUDIO TRACKS)
8. Psycho Man
9. Selling My Soul




1999
THE LAST SUPPER / 最後の晩餐
 '97年12月にオリジナルメンバーで再結成したBLACK SABBATHのショウを収録した公式映像作品。一部に他の会場のライヴと、メンバーのインタビューを交えながら再構成したもので、ドキュメンタリー的な側面も持つ。

 DEEP PURPLEの映像版「COME HELL OR HIGH WATER」もそうだったが、曲間にインタビューが挟まれる事で、ライヴならではの流れが途切れてしまうのが残念。しかも「Faries Wear Boots」では、演奏中に堂々とインタビューが挿入されている。
 一つのライヴとして楽しむには、正直なところ不向きかも知れない。しかし「REUNION」未収録の「After Forever」は嬉しいし、映像や音声のクオリティは大変優れている。
01. Program Start
02. War Pigs
03. N.I.B.
04. Electric Funeral
05. Fairies Wear Boots
06. Into The Void
07. Sweet Leaf
08. Snowblind
09. After Forever
10. Dirty Women
11. Black Sabbath
12. Iron Man
13. Children Of The Grave
14. Paranoid
15. Closing Credits





2013
13 / サーティーン

 バンドが2011年の復活時に"公約"した、オジー・サバス35年ぶり
のスタジオ新作。リリース後、アメリカとイギリスでチャート1位
を記録。メタル・シーンでも2013年で最大級の話題となった。

 ビル・ワード不参加のため、ドラムはブラッド・ウィルクが担
当。プロデューサーのリック・ルービンは1stアルバムへの回帰を
目指し、ジャムセッション形式で作業を進めた。それでもアイオミ
のプレイやリフには'70年代だけでなく'80年代以降の要素が見られ
るし、オジーのヴォーカルもソロで得られたキャリアの蓄積が感じ
られる(本作では再結成後ほとんど触れられていない「NEVER SAY
DIE!」の要素も、場面によっては現れている)。

 序盤の「End Of The Biginning」や「God Is Dead?」など、重厚
でヘヴィが曲が中心だが、アコースティックの「Zeitgeist」や、
壮大な「Age Of Reason」はメロディも優れている。さらに約30分
ものジャムセッションを編集した「Dameged Soul」や、ラストに"
全ての始まり"へ円環する「Dear Father」は、作品を強烈に印象づ
けている。本編から外れてボーナスとされた4曲では、スピーディ
な「Methademic」や「Naivete In Black」などを楽しめる。


 なお、バンドは2001年にも、リック・ルービンのプロデュースで
新作製作を試みた事があった。この時は「Scary Dream」など新曲
を生み出したが、アルバム製作は頓挫していた。
Released: 10 June 2013
Recorded: August 2012 - January 2013 at Shangri La Studios, CA, and Tone Hall, Warwickshire, England
Producer: Rick Rubin
Disc 1

1. End Of The Beginning
2013年ツアー開始から多くのショウで演奏。
2. God Is Dead?
シングル曲。2013年のほぼ全公演で演奏。
3. Loner
2013年ツアー序盤のメルボルン公演で演奏。
4. Zeitgeist
2013年北米ツアー以降、終演後のアウトロBGMで使用。
5. Age Of Reason
2013年北米ツアーから演奏。
6. Live Forever

7. Damaged Soul

8. Dear Father

Disc 2

1. Methademic 2013年メルボルン公演、および北米ツアー序盤で演奏。
2. Peace Of Mind
3. Pariah
4. Naivete In Black 日本盤ではアルバム本編のTrack-9に収録。





2013
LIVE... GATHERED IN THEIR MASSES

DVD / BLU-Ray

Deluxe Box (CD+DVD+BLU-Ray)

 '13年のワールドツアー中にリリースされた、公式ライヴ映像(+音源)作品。同年ワールドツアーの前半、4月29
日と5月1日に行われたオーストラリア・メルボルンでの2公演から製作されている。

 通常リリースのDVD(またはBLU-Ray)では「Under The Sun」・「Dirty Women」・「Electric Funeral」がカット
されているが、"Deluxe Box"収録の映像ではこれら3曲もボーナス収録され、双方のライヴで演奏された楽曲の全種
類を賄える仕組み。さらに"Deluxe Box"のボーナスでは、インタビューやライヴ当日のドキュメンタリーも追加収録
されている。
DVD / BLU-Ray
01. War Pigs
02. Into The Void
03. Loner
04. Snowblind
05. Black Sabbath
06. Behind The Wall Of Sleep
07. N.I.B.
08. Methademic
09. Fairies Wear Boots
10. Symptom Of The Universe
11. Iron Man
12. End Of The Beginning
13. Children Of The Grave
14. God Is Dead?
15. Paranoid
(Deluxe Box Only - Bonus Tracks)
・. Under The Sun
・. Dirty Women
・. Electric Funeral
・. Interview
・. Live Documentary
CD
01. War Pigs
02. Loner
03. Black Sabbath
04. Methademic
05. N.I.B
06. Iron Man
07. End Of The Beginning
08. Fairies Wear Boots
09. God Is Dead?
10. Paranoid





2016
THE END / ジ・エンド

 2017年2月をもって活動終了を明らかにしたサバスが、2016年の
『THE END』ツアー開始に伴い、ライヴ会場限定で発売した8曲入
りEP。前半の4曲が『13』製作時にレコーディングされたスタジ
オ新曲のアウトテイクで、プロデューサーはリック・ルービン。後
半4曲は『13』ツアーの2013年から2014年にかけて収録されたライ
ヴ音源という変則的な構成となっている。


 前半のスタジオ4曲は『13』同様、アイオミの重厚なギターが織
りなすスロー/ミッドテンポ曲。その前作に収められた「Naivete
In Black」的なスピード・ナンバーや、「Methademic」のようにド
ラマティックな楽曲は無いので、ひたすらヘヴィな曲想が続く。

 後半4曲のうち3トラックは『13』収録曲のライヴテイク。
『LIVE...GATHERED IN THEIR MASSES』では聴けなかった「Age Of
Reason」は大きな聴き所だ。本作の他にSBD音源が未発掘であるた
め、とりわけ貴重なテイクである。


 本作はライヴ会場限定販売であるため、日本盤がリリースされて
おらず、サバスの再来日も実現しなかったため、国内での入手が難
しいタイトルである。
Released: 20 January 2016
Recorded: August 2012 - January 2013 at Shangri La Studios, CA, and Tone Hall, Warwickshire, England
Producer: Rick Rubin (Track 1 - 4)
Disc 1

1. Seasons Of The Dead

2. Cry All Night

3. Take Me Home

4. Isolated Man

5. God Is Dead? (Live)
Live In Sydney, Australia on 27th April 2013
6. Under The Sun
Live In Auckland, New Zealand on 20th April 2013
7. End Of The Beginning
Live In Hamilton, Ontario, Canada on 11th April 2014
8. Age Of Reason
Live In Hamilton, Ontario, Canada on 11th April 2014





2017
THE END: LIVE IN BIRMINGHAM / ジ・エンド〜伝説のラスト・ショウ

DVD / BLU-Ray


Super Deluxe Box (3CD+DVD+BLU-Ray)
 サバスは2016年1月から、バンドの活動終了と解散を掲げた『THE END』ツアーを開始して、北米およびヨーロッ
パ、そして南米各国と、大規模なライヴ活動を行う。年が明けた2017年はイギリスで7公演(他にドイツとアイルラ
ンドで1公演ずつ。合計9公演)が行われ、バンドの故郷バーミンガムでの2日間が終着点となった。

 本作はその最終公演となった2月4日、バーミンガムの"ゲンティング・アリーナ"(すなわちバーミンガムNEC)
におけるショウを収録したもの。


 2016年1月のツアー開始時点では『13』からの新曲「God Is Dead?」が引き続き取り上げられていたものの、北米
ツアー中に同曲はセット落ちし、最終的に70年代の定番曲が並ぶ構成となった。それでも"これが最後"というバンド
側の思いがあったのか、イギリスツアーでは「Supernaut」,「Sabbath Bloody Sabbath」さらに「Megalomania」が
インスト・メドレーの形でプレイされ、セット上の大きな特徴となっている。バンドの演奏は完全に安定し、オジー
の歌唱も悪くない。映像で観られる会場の盛り上がりは素晴らしいの一言だ。


 ボーナス収録された「The Angelic Sessions」の5曲は、ある意味ライヴ本編よりもマニアへ訴求するテイクの
数々。直近のライヴでは演奏されなかった「The Wizard」や「Sweet Leaf」に加え、レアな「Tomorrow's Dream」そ
して「Changes」、さらに70年代前半以来となる「Wicked World」が、いずれもきちんとした演奏、オジーの歌唱入
りで繰り広げられる。これらはバーミンガムでのライヴ直後に収録されたそうで、現時点でサバス最後のスタジオ録
音素材となっている。
LIVE
01. Black Sabbath
02. Fairies Wear Boots
03. Under The Sun / Every Day Comes And Goes
04. After Forever
05. Into The Void
06. Snowblind
07. Band Intro
08. War Pigs
09. Behind The Wall Of Sleep
10. Bassically / N.I.B.
11. Hand Of Doom
12. Supernaut/Sabbath Bloody Sabbath/Megalomania
13. Rat Salad / Drums Solo
14. Iron Man
15. Dirty Women
16. Children Of The Grave
17. Paranoid
The Angelic Session
01. The Wizard
02. Wicked World
03. Sweet Leaf
04. Tomorrow's Dream
05. Changes